来世は「とり」を予約します。

僕は、鳥にずっと憧れてきた。

コーヒーをカフェで飲んでいるとき、信号が青になるのを待っているとき、路肩でタバコを吸っているとき、いつだってふと空を見上げると、鳥は自由そうに飛んでいる。

大谷翔平さんよりも、会社員時代にお世話になった上司よりも、とにかく鳥に憧れてきた。

僕はよく、家で暇になると、ベランダから顔を出して、外の木々や空を見るのが好き。これは小学校ぐらいの頃からで、思い返すとずっと変わっていないかもしれない。

そんな、いつも定点で空を見ている僕を横目に(いや、僕なんてきっと目に入っていないかもしれない)、鳥は颯爽と僕の目線を飛び越え、空を駆け巡る。

どこかへ行ったと思ったら帰ってきて、帰ってきたと思ったら止まったり。夢中になっている僕は、いつも鳥に翻弄されている。大学時代に好きになった2個上の先輩を思い出す。

今日、タバコを吸いながら、目の前のマンションの屋上の先に、一羽の鳥が止まっていた。種類はわからない。くちばしが尖っていた気がする。ああ、休んでいるのかなと思って、タバコの灰を落として目線を外すと、次そこを見たときにはいなくなっていた。

ああ、鳥はやっぱり自由だ、と思った。

僕も会社の上司にミスを詰められているとき、蹴飛ばしてその場から飛び立ちたかった。鳩になって、小学校でいじめてきた奴らに、うんこをべちょっと落としてやりたかった。そいつらが好きな女の子に告白しているところ目掛けて、三羽ぐらい仲間を連れて、落としてやりたかった。

鳥は、飛ぶことの幸せをわかっているのだろうか。できれば分かっていないで欲しい。

鳥が飛ぶことを当たり前だと思わないで、「幸せ」を分かっていたら、あまりにも幸せじゃないか、不公平じゃないか。

だから僕は、来世に生まれ変わる予約用紙があったら、「とり」と書こうと思う。漢字の「鳥」ではない、ひらがなの「とり」。

地球が滅亡するときは、そそくさと違う星に行って、違う空を飛べるように。そう、生きることの「とり」を全部抱えて。(うるさい)